不動産業が使える補助金まとめ【2026年最新版】
DX・省エネ・人材確保

この記事のポイント
不動産業はITツール導入・省エネ設備・雇用関連助成金など多様な補助金を活用できます。2026年度はデジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)で最大450万円、省力化投資補助金では賃上げ達成で最大1,500万円の支援を受けられます。不動産テックの普及やDX推進に対応した制度が拡充しており、本記事では主要制度を公式情報に基づき金額・補助率付きで整理します。

不動産業向け補助金の全体像

不動産業は仲介・売買・賃貸管理・リフォーム・ビル管理など幅広い業務を担います。近年はデジタル化(不動産テック)の推進、省エネ・ZEH対応への対応、人手不足への対処が喫緊の経営課題となっており、これらを支援する補助金・助成金制度が充実しています。

不動産業が活用できる補助金は主に4つのカテゴリに分けられます。①デジタル化・DX推進、②設備投資・省エネ対応、③集客・販促支援、④人材確保・雇用促進です。規模を問わず活用できる制度が多く、小規模の仲介事務所から大手管理会社まで幅広く対象となります。

制度名補助上限額補助率不動産業での主な用途公式サイト
デジタル化・AI導入補助金
(旧:IT導入補助金)
最大450万円
(通常枠)
1/2〜4/5
(枠・類型による)
物件管理・CRM・電子契約導入公式サイト
中小企業省力化投資補助金
(カタログ注文型)
従業員数別 200万〜1,000万円
(賃上げ達成で最大1,500万円)
1/2以下AI応答・RPA・スマートロック導入公式サイト
小規模事業者持続化補助金最大250万円
(特例併用時)
2/3
(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4)
広告宣伝・ホームページ制作中小企業庁
省エネ・非化石転換補助金事業区分により異なる事業区分により異なるLED照明・高効率空調・断熱改修SII
業務改善助成金最大600万円4/5または3/4機器購入+賃金引上げ厚生労働省
キャリアアップ助成金最大80万円/人
(正社員化コース・中小企業)
定額非正規→正規雇用転換厚生労働省

※補助額・補助率は公募回・申請枠によって異なります。最新の公募要領を必ずご確認ください。

デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)— 不動産テック・業務効率化

IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました。中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際のコストを支援する制度で、不動産業では物件管理システム・CRMツール・電子契約サービス・Web内見ツールなどの導入に広く活用されています。

不動産業で活用されるITツールの例

2026年度の補助内容

申請枠補助額(補助上限)補助率主な対象
通常枠5万円〜150万円未満(1プロセス以上)
150万円〜450万円以下(4プロセス以上)
1/2以内
(賃上げ等の要件を満たす場合は2/3以内)
物件管理・CRM・電子契約など業務効率化ツール全般
インボイス枠
(インボイス対応類型)
ITツール(ソフト):〜350万円
PC・タブレット等:〜10万円
補助額50万円以下の部分:3/4以内
(小規模事業者は4/5以内)
50万円超の部分:2/3以内
インボイス対応の会計・受発注・決済ソフト等

※このほかにセキュリティ対策推進枠・複数者連携デジタル化・AI導入枠があります(旧「A類型・B類型」「デジタル化基盤導入枠」の区分は再編され、現行制度にはありません)。「プロセス」とは会計・受発注・決済などの業務工程を指します。

不動産業での活用シーン(一般的な組み合わせ例)

物件管理・顧客管理(CRM)・電子契約など複数の業務プロセスをカバーするツールをまとめて導入すると、通常枠のより大きい補助上限(4プロセス以上で最大450万円)を活用できます。インボイス対応の会計・請求ソフトはインボイス枠(補助率3/4以内・小規模事業者は4/5以内)の対象です。申請はIT導入支援事業者(登録事業者)を通じて行うため、導入したいツールのベンダーが登録事業者かを確認することから始めましょう。

省力化投資補助金(AI・自動化ツール)

省力化投資補助金は、人手不足に直面する中小企業が汎用製品(AI・RPA・自動化システム等)を導入して業務の省力化を図る際に活用できる補助金です。不動産業においても、受付対応のAI化・書類作成の自動化・重要事項説明の効率化などに活用が広がっています。

不動産業で導入が進む省力化製品

方式補助上限額補助率
カタログ注文型従業員数に応じ200万〜1,000万円
(賃上げ要件の達成で最大1,500万円)
1/2以下

カタログ注文型は、あらかじめ登録された製品リスト(カタログ)から選んで申請するシンプルな仕組みで、随時公募を受け付けています。導入したい製品がカタログに掲載されているかを公式サイトで確認しましょう。

小規模事業者持続化補助金(集客・広告)

小規模事業者持続化補助金は、小規模の不動産業者が販路開拓・集客強化に取り組む際の費用を補助する制度です。ホームページのリニューアル・不動産ポータルへの掲載費用・チラシ・看板制作など、集客に関わる幅広い経費が対象となります。

不動産業者が使いやすい対象経費

型・特例補助上限額補助率備考
一般型・通常枠50万円2/3販路開拓・業務効率化の取組
インボイス特例+50万円上乗せ免税事業者からインボイス発行事業者に転換
賃金引上げ特例+150万円上乗せ赤字事業者は3/4事業場内最低賃金+50円以上の引上げ
創業型200万円2/3特定創業支援等事業の支援を受けた日と開業日がいずれも公募締切から過去3年以内

一般型・通常枠は両特例の併用で最大250万円まで補助上限が拡大します(旧「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」等の枠は現行制度にはありません)。小規模事業者(不動産業は商業・サービス業〔宿泊業・娯楽業除く〕の区分で、常時使用する従業員5人以下)が対象です。個人事業主でも申請可能で、年に複数回の公募があります。なお、ホームページ制作などのウェブサイト関連費は交付申請額の1/4が上限で、ウェブサイト関連費のみでの申請はできません。

省エネ補助金(LED・設備更新)

不動産業には、管理するオフィスや店舗の省エネ化を支援する補助金も活用できます。経済産業省系の現行制度は「省エネ・非化石転換補助金」(実施主体:一般社団法人環境共創イニシアチブ〔SII〕)で、既存の工場・事業場への省エネ設備導入を支援しています。

オフィス・店舗の省エネ化で行われる主な工事の例

以下はオフィスビル・店舗の省エネ化で一般的な工事の例です。個々の設備が補助対象になるかは、各制度の公募要領の対象設備リストで必ず確認してください(太陽光発電・蓄電池は再エネ系の別制度が受け皿となる場合があります)。

補助率・補助上限額は事業区分(設備単位型・工場/事業場型など)や設備の種類によって異なるため、申請前に必ずSII公式サイトの最新の公募要領をご確認ください。さらに自治体独自の省エネ補助制度も多く存在します。省エネ関連制度の全体像は省エネ補助金まとめ2026で詳しく解説しています。

雇用・人材確保の助成金

人手不足が深刻な不動産業では、雇用関連の助成金が重要な経営支援策となります。厚生労働省が所管する助成金は返済不要で、要件を満たせば確実に受給できる点が特徴です。

キャリアアップ助成金(正規雇用転換コース)

アルバイト・パート・契約社員などの有期雇用労働者を正規雇用に転換した場合に受給できる助成金です。不動産業では事務・案内スタッフの正規化に多く活用されています。

業務改善助成金

最低賃金を一定額以上引き上げた上で設備・機器等を購入した際に、その費用を助成する制度です。パソコン・コピー機・業務用ソフトウェア・車両等も対象となる場合があります。

コース(事業場内最低賃金の引上げ額)助成上限額助成率
50円コース30万〜130万円事業場内最低賃金1,050円未満:4/5
1,050円以上:3/4
70円コース40万〜300万円
90円コース90万〜600万円

※助成上限額は引き上げる労働者数によって決まります(10人以上の区分は特例事業者のみ対象)。設備投資等は交付決定後に実施する必要があります。従業員がいない一人経営の場合は対象外です。

人材開発支援助成金(不動産業での活用)

不動産業では宅地建物取引士・管理業務主任者・ファイナンシャルプランナーなどの資格取得研修や、コンプライアンス・接客マナー研修に活用できます。研修費(OFF-JT経費)の45〜75%(中小企業。訓練の種類・対象者により異なる)に加え、訓練期間中の賃金の一部(1人1時間あたり800円・中小企業)を助成します。訓練実施前に職業訓練実施計画届の提出が必要です。

あなたの不動産会社に合う補助金を診断する

30秒の質問に答えるだけで、最適な補助金が見つかります

無料で診断を始める →

補助金活用の流れ(ステップ)

  1. 現状の課題・投資計画を整理する どの業務に課題があるか(物件管理の非効率・集客不足・人手不足等)を明確にし、どの補助金が対応するか確認します。
  2. 補助金の公募スケジュールを確認する デジタル化・AI導入補助金・持続化補助金は年に複数回の公募があります。事前登録(GビズID取得等)が必要な制度もあり、GビズIDは書類申請の場合審査に最大1か月かかるため(オンライン申請なら速やかに発行)、余裕をもって準備を始めましょう。
  3. 必要書類を準備する 確定申告書・決算書・見積書・事業計画書(補助金によって異なる)を準備します。デジタル化・AI導入補助金はIT導入支援事業者(登録事業者)を通じて申請します。
  4. 交付決定を受けてから発注・購入する 補助金は採択・交付決定の通知を受けた後に発注・契約を行うのが原則です。交付決定前の発注は補助対象外となるため注意が必要です。
  5. 事業完了後に実績報告を行う 設備導入・ツール導入後に所定の実績報告書を提出します。報告書の確認後、補助金が指定口座に振り込まれます。

よくある質問(FAQ)

不動産業(個人事業主の仲介業者)でも補助金は申請できますか?
はい、申請できます。デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)・小規模事業者持続化補助金は個人事業主でも対象です。業務改善助成金・キャリアアップ助成金は雇用する従業員がいる場合に対象となります。開業届を提出し、業種として不動産業(日本標準産業分類)に該当していることが基本条件です。
不動産ポータルサイトへの掲載費(SUUMO・at home等)は補助対象になりますか?
持続化補助金では「広告費」として対象となるケースがあります。ただし、掲載費が継続的な経費(月額サブスク)の場合は対象外になる可能性があります。「新たな顧客獲得のための初期費用」や「新たな媒体への出稿」として申請する際は、事前に商工会議所に確認することをお勧めします。
VR内見システムの導入はどの補助金で申請できますか?
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)の通常枠が最も一般的です。VR・3D内見ツールが同補助金のITツール登録リストに掲載されているサービスであれば、IT導入支援事業者を通じて申請できます。また、省力化投資補助金で対応製品がカタログに掲載されていれば同制度も活用可能です。
不動産管理会社の共用部のLED化は省エネ補助金の対象になりますか?
管理する建物の共用部照明のLED化は、「省エネ・非化石転換補助金」(実施主体:一般社団法人環境共創イニシアチブ〔SII〕)などの対象となるケースがあります。対象設備・要件は事業区分により異なるため公式の公募要領で確認が必要です。また、補助対象はオーナー(施主)が事業者として申請するのが基本です。テナントとして入居している場合は、オーナーへの働きかけが必要になります。
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)と持続化補助金は同時に申請できますか?
はい、別々の事業・経費であれば同時申請が可能です。例えば、デジタル化・AI導入補助金で物件管理システムを導入し、持続化補助金でホームページをリニューアルするといった組み合わせは認められます。ただし、同一の経費に対して複数の補助金を重複受給することは禁止されています。
補助金申請に専門家(行政書士・中小企業診断士)は必要ですか?
必ずしも必要ではありませんが、不採択のリスクを下げるために専門家に依頼する事業者も多くいます。特に中小企業新事業進出補助金・ものづくり補助金など金額が大きく事業計画書の記述が重視される制度では、専門家の支援を受ける事業者が多い傾向があります。デジタル化・AI導入補助金はIT導入支援事業者が申請サポートを行うため、比較的申請しやすい制度です。
電子契約導入で補助金を使った場合、重要事項説明もオンラインでできますか?
はい、宅地建物取引業法の改正により、重要事項説明のIT化(IT重説)や電磁的方法による契約が認められています。電子契約ツールの導入にデジタル化・AI導入補助金を活用することで、来店不要のオンライン対応を進められます。運用要件の詳細は国土交通省の公表資料をご確認ください。
地方自治体独自の不動産業向け補助金はありますか?
はい、多くの都道府県・市区町村が独自の補助制度を設けています。例えば、空き家対策・古民家再生支援・耐震改修費補助・リフォーム補助金などは不動産業との親和性が高い制度です。地域によって内容が異なるため、各自治体の補助金情報ページや産業振興課に問い合わせることをお勧めします。補助金ナビでは全国の地方補助金も掲載しています。