| 補助金名 | 補助率・上限 | DXでの主な活用場面 | 申請のしやすさ |
|---|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金 (通常枠) |
1/2以内(小規模2/3以内) 5万〜450万円(プロセス数による) |
業務効率化ソフト・クラウドサービス導入 | 比較的申請しやすい |
| デジタル化・AI導入補助金 (インボイス枠・インボイス対応類型) |
50万円以下の部分3/4以内(小規模4/5以内) ソフト〜350万円 |
インボイス対応の会計・受発注・決済ソフト(PC・レジ等のハードも対象) | 比較的申請しやすい |
| デジタル化・AI導入補助金 (セキュリティ対策推進枠) |
1/2以内 5万〜150万円 |
サイバーセキュリティ対策サービスの導入 | 比較的申請しやすい |
| ものづくり補助金 (製品・サービス高付加価値化枠) |
中小1/2・小規模2/3 750万〜2,500万円(従業員規模による) |
革新的なシステム開発・AIを活用した新製品・新サービス開発 | 事業計画書の審査あり(難易度高め) |
| 中小企業省力化投資補助金 (カタログ注文型) |
1/2以下 200万〜1,000万円(賃上げ達成で最大1,500万円) |
カタログ登録製品(ロボット・自動精算機等)の導入 | 販売事業者が申請をサポート |
| 中小企業省力化投資補助金 (一般型) |
中小1/2(大幅賃上げで2/3)・小規模2/3 750万〜8,000万円(賃上げ達成で最大1億円) |
現場に合わせたオーダーメイドの省力化システム・IoT・AI | 公募回制・計画書が必要 |
| 中小企業新事業進出補助金 | 公募要領による (従業員数・枠により異なる) |
デジタル技術を活用した新事業・新分野進出 | 事業計画書の審査あり(難易度高め) |
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領/ものづくり補助金 総合サイト「公募要領(第23次締切分)」/中小企業省力化投資補助金 公式サイト(カタログ注文型・一般型)/中小企業新事業進出補助金 公式サイト(各出典URLは記事末尾に記載)。上限額・補助率は枠・従業員規模により異なります。かつての「事業再構築補助金」は新規公募を終了しており、新事業展開の受け皿は中小企業新事業進出補助金に移行しています。
DX推進で最もよく使われるのがデジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)とものづくり補助金ですが、この2つは性格が異なります。
デジタル化・AI導入補助金は「ソフトウェア・クラウドサービスの導入」に特化しています。申請ハードルが比較的低く、IT導入支援事業者(登録ベンダー)に申請サポートを依頼できるため、初めて補助金を申請する企業にも向いています。現在の申請枠は「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)」「セキュリティ対策推進枠」「複数者連携デジタル化・AI導入枠」の5枠です(かつての「A・B類型」「デジタル化基盤導入枠」は廃止・再編されました)。
ものづくり補助金は「革新的な製品・サービス開発のための設備投資・システム構築」を支援します。補助上限額が大きい分、事業計画書の審査があり採択難易度は高めです。2026年の第23次公募時点の枠は「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つで、かつての「DX枠」「デジタル枠」「省力化枠」という区分は現行制度にはありません。人手不足解消のための省力化・自動化投資は、別制度の「中小企業省力化投資補助金」が受け皿となっています。
デジタル化・AI導入補助金(通常枠)。クラウド会計・電子契約・ワークフローシステムなど。
デジタル化・AI導入補助金(インボイス枠・インボイス対応類型)。補助率は50万円以下の部分3/4以内(小規模事業者4/5以内)と手厚い支援が受けられる。
デジタル化・AI導入補助金(通常枠)。EC構築・予約管理などの登録ITツールが対象。
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型・一般型)。ロボット・自動精算機・オーダーメイドの省力化システムに。
中小企業新事業進出補助金。事業再構築補助金(新規公募終了)に代わる新事業展開向けの制度。
デジタル化・AI導入補助金(セキュリティ対策推進枠)。ランサムウェア・サイバー攻撃対策に。
DXは一度に全てをデジタル化するのではなく、段階的に進めることが成功の鍵です。各フェーズで活用できる補助金が異なるため、長期計画として補助金を組み合わせましょう。
会計・給与・受発注・在庫管理などのバックオフィス業務をクラウド化します。デジタル化・AI導入補助金(通常枠・インボイス枠)が最適です。申請ハードルが比較的低く、インボイス枠(インボイス対応類型)なら小規模事業者は補助率最大4/5と手厚いため、DX初心者でも取り組みやすい制度です。まず「紙とFAXをなくす」「手入力を自動化する」ことから始めましょう。
IoT・ロボット・AI等を活用して生産・業務プロセス全体を変革します。人手不足解消の省力化投資なら中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型・一般型)、革新的な製品・サービス開発を伴うならものづくり補助金を活用。投資額が大きい分、補助額も高額になります。事業計画書で「現状の生産効率と目標値」を数値で示すことが採択の鍵です。
デジタル技術を活用した新たなビジネスモデル・サービスへの転換です。中小企業新事業進出補助金(新規公募を終了した事業再構築補助金の後継として2025年度に創設)が新分野進出を伴う投資の受け皿です。上限額・要件は公募回により異なるため公式の公募要領で確認してください。既存事業との「違い」を明確に示し、デジタル技術を核とした革新性を事業計画書で証明することが必要です。
補助金を使ったDX投資が実際にどのような成果につながっているか、公式の成果事例集に掲載された実在の事業者の事例を紹介します。
全国中小企業団体中央会が公開する「令和6年度ものづくり補助金成果事例集」に掲載された実在の取組です。ポンプの重要部品「インペラ」の検査は従来ノギスによる手作業の測定でしたが、ものづくり補助金で非接触の3次元(3D)スキャナーを導入。ボタン一つで高精度な寸法測定・CADデータ化ができるようになり、検査の自動化と属人化の解消を実現しました。検査担当者を収益性の高い新規事業の開拓へ振り向けられるようになった、アナログ工程のデジタル化(DX)の好例です(出典:ものづくり補助金 総合サイト「令和6年度ものづくり補助金成果事例集」)。
このほかの実在事例は、各制度の公式サイトが公開する成果事例集・交付決定事業者一覧で確認できます。制度別の詳しい事例・採択データはものづくり補助金2026年度申請ガイド・デジタル化・AI導入補助金2026年度完全ガイドをご覧ください。
公式公表値(2026年度1次締切分)から当ナビ編集部が算出した交付決定率は3枠合計46.3%(通常枠43.9%・インボイス枠〔対応類型〕46.9%・セキュリティ対策推進枠72.7%)。
公式公表値から算出した採択率は直近5回(第18〜22次)でおおむね31〜37%台。「革新性」と「数値目標」の明確さが採否を分ける。
補助額が大きい制度ほど審査は厳しい。認定支援機関・IT導入支援事業者と密に連携した事業計画書が必須。
※交付決定率・採択率はいずれも各公式サイトの公表値をもとに当ナビ編集部が算出したものです(デジタル化・AI導入補助金は「採択率」ではなく交付申請数・交付決定数が公表されます)。数値の根拠となる出典は記事末尾に記載しています。
補助金の事業計画書では「なぜDXが必要か」「どんな課題を解決するか」「導入後の効果をどう測定するか」を具体的に記載することが重要です。「デジタル化のため」という曖昧な理由では審査を通過できません。
デジタル化・AI導入補助金では事務局に登録されたITツールのみが補助対象です。導入したいシステムが補助対象かどうかを最初に確認してから動きましょう。
「業務時間が月○時間削減できる」「売上が○%増加見込み」など、定量的な効果を計画書に盛り込むと採択率が上がります。
デジタル化・AI導入補助金はIT導入支援事業者(登録ベンダー)を通じて申請します。事業者によってサポートの質・提案力・対応速度に大きな差があります。複数の事業者から提案を受け、「自社の課題をしっかり理解してくれるか」「補助対象ツールのラインナップが豊富か」「申請後のサポート体制があるか」を確認してください。手数料が高すぎる事業者や、補助金の受給を過度に保証する事業者には注意が必要です。
「DX推進指標」(経済産業省が公表しているDX成熟度の自己診断ツール)を活用して、自社の現状レベルを客観的に把握することをおすすめします。現状レベルを把握することで、どのフェーズの補助金が最も適切かが明確になります。また事業計画書に「現状のDX成熟度」と「補助事業後の目標」を対比して記載することで、審査員に取組みの方向性が伝わりやすくなります。
※本記事の情報は2026年7月時点で各公式サイトに公表されている内容に基づきます。補助金の内容・要件は変更される場合があります。申請前に必ず公式ポータルの最新情報をご確認ください。