教育・保育事業者が使える補助金まとめ【2026年最新版】
施設整備・ICT導入・人材確保

この記事のポイント
保育所・幼稚園・認定こども園・学習塾・スポーツスクール等の教育・保育事業者は、「就学前教育・保育施設整備交付金」「保育所等におけるICT化推進等事業」「処遇改善等加算」「キャリアアップ助成金」など、施設整備からデジタル化・人材確保まで幅広い補助金・助成金を活用できます。処遇改善等加算は令和7年度からⅠ・Ⅱ・Ⅲが一本化され、区分1〜3の新しい体系になりました。本記事では主要制度を公式公表資料に基づく金額・補助率付きで解説します。

教育・保育向け補助金の全体像

教育・保育分野は、大きく「認可保育所・認定こども園・幼稚園などの認可系施設」と「学習塾・スポーツスクール・英会話教室・民間の保育施設などの非認可系施設」に分けられます。それぞれ活用できる補助金・助成金の種類が異なります。

認可系施設(保育所・幼稚園等)は国・市区町村からの補助が手厚く、施設整備・ICT化・処遇改善に関する専用の補助制度が整備されています。一方、民間の学習塾・スクール等は一般の中小企業向け補助金(デジタル化・AI導入補助金〔旧IT導入補助金〕・持続化補助金等)を活用することが中心となります。自分の施設がどのカテゴリに属するかを確認した上で、活用できる制度を選択することが重要です。

制度名補助上限額の目安主な対象用途
就学前教育・保育施設整備交付金負担割合:原則 国1/2・市区町村1/4・設置主体1/4(嵩上げで国2/3)認可保育所・認定こども園・小規模保育等新設・増改築・防音壁・防犯対策
保育所等におけるICT化推進等事業1施設あたり20万〜130万円(機能数・端末購入の有無による)保育所・幼稚園・認定こども園・認可外等登降園管理・保護者連絡・記録等のICT化
処遇改善等加算(区分1〜3)公定価格への上乗せ認可施設全般保育士・幼稚園教諭等の賃金引き上げ
キャリアアップ助成金(正社員化コース)1人あたり80万円(中小・重点支援対象者)全事業者(雇用保険適用)非正規→正規転換
人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)雇用管理制度:複数導入で上限80万円/業務負担軽減機器等:上限150万円全事業者雇用管理改善・定着率向上
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)通常枠:最大450万円民間スクール・塾・学校法人等管理システム・会計ツール等
小規模事業者持続化補助金50万円(インボイス特例で+50万円)小規模な塾・教室等集客・HP・設備等

※補助額は施設規模・取り組み内容・自治体によって異なります。必ず最新の公募要領をご確認ください。

就学前教育・保育施設整備交付金

従来の「保育所等整備交付金」は、現行では「就学前教育・保育施設整備交付金」(こども家庭庁)に再編されています。市区町村が策定する整備計画等に基づき、保育所・認定こども園・小規模保育事業所等の施設整備(新設・修理・改造・整備)や防音壁設置・防犯対策強化整備に要する経費を、国が市区町村等を通じて補助する制度です(令和8年度予算230億円+令和7年度補正306億円)。

補助内容と対象

申請は市区町村経由で行うため、まず施設のある市区町村の保育担当課に相談することが必要です。補助率は個別のメニュー等により異なり、各市区町村の予算状況によって補助が受けられるタイミングも異なります。

保育所等におけるICT化推進等事業

保育所等におけるICT化推進等事業」(保育対策総合支援事業費補助金・こども家庭庁)は、保育士等の業務負担を軽減するため、保育の周辺業務・補助業務(保育に関する計画・記録、保護者との連絡、登降園管理、実費徴収等のキャッシュレス決済)に係る業務システムの導入費用等の一部を補助する制度です。実施主体は都道府県・市区町村で、申請は市区町村経由が一般的です。

補助基準額(システム導入・1施設あたり)

導入する機能数基準額端末購入等を併せて行う場合
1機能20万円70万円
2機能40万円90万円
3機能60万円110万円
4機能80万円130万円

事前に市区町村の保育担当課に補助の有無・申請時期を確認してから、ICTシステムの選定・導入を検討することをお勧めします。

公式の基準額・負担割合に基づく試算(モデルケース)

登降園管理・保護者連絡・保育記録・キャッシュレス決済の4機能のシステムを端末購入と併せて導入する場合:補助基準額は1施設あたり130万円。負担割合が原則(国1/2・市区町村1/4・事業者1/4)の場合、基準額の範囲内で事業者の負担は1/4相当となります。
※公式公表の補助基準額・負担割合の機械的な説明であり、特定の事業者の受給実績ではありません。実施の有無・詳細は市区町村により異なります。

処遇改善等加算(令和7年度に一本化)

「処遇改善等加算」は、保育所・幼稚園・認定こども園等の認可施設において、保育士・幼稚園教諭等のスタッフの賃金を引き上げるために、公定価格に上乗せして支給される加算制度です。補助金ではなく公定価格の「加算」という位置づけですが、実質的に保育士等の賃金引き上げを可能にする重要な財源です。従来の処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは令和7年度から一本化され、次の3区分に整理されました。あわせて配分ルールの簡素化・申請様式の一本化も行われています。

処遇改善等加算の区分(令和7年度以降)

区分内容従来の加算との関係
区分1(基礎分)職員の平均経験年数の上昇に応じた昇給に要する費用旧・加算Ⅰの基礎分
区分2(賃金改善分)職員の賃金の改善(ベースアップ等)に要する費用旧・加算Ⅰの賃金改善要件分と旧・加算Ⅲを統合
区分3(質の向上分)職員の技能・経験の向上に応じた追加的な賃金改善(リーダー層の改善)に要する費用旧・加算Ⅱに相当

加算の受け取りには、市区町村への計画・実績報告の提出が必要です(賃金改善計画書・実績報告書は区分2・3について必要)。要件を満たして確実に申請することで、スタッフの賃金引き上げを公費でまかなうことができます。具体の加算率・要件はこども家庭庁の公表資料・市区町村の案内で確認してください。

キャリアアップ助成金(教育・保育向け)

キャリアアップ助成金は、非正規雇用の保育補助者・学習塾講師・スクールスタッフなどを正社員化したり、処遇を改善した場合に活用できます。保育業界・教育業界ともに非正規雇用比率が高く、人材定着のために活用する事業者が増えています。

保育・教育業界での活用例(令和8年度の主なコース)

主な要件は、キャリアアップ計画の事前提出・転換後の賃金3%以上増額・転換後6か月の継続雇用です。支給申請は転換後6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に行います(窓口:都道府県労働局・ハローワーク)。

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人材確保等支援助成金

「人材確保等支援助成金」は、雇用管理の改善によって離職率の低下を図る事業主を助成する制度です。保育業界・教育業界はいずれも離職率が高い傾向があり、スタッフの定着施策の充実は経営上の優先課題です。

雇用管理制度・雇用環境整備助成コース(現行の中心コース)

現行の中心コースは「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」で、次の2種類の取組が対象です(令和8年度)。

受給には、雇用管理制度等整備計画を作成して労働局の認定を受け、計画期間内に制度・機器等を導入した上で、離職率の低下目標(計画終了から1年経過までの離職率を計画提出前1年間より1%ポイント以上低下。雇用保険一般被保険者9人以下の事業所は「上回らないこと」)を達成することが必要です。計画の策定・提出・目標達成確認に一定の期間が必要なため、早めに着手することをお勧めします(窓口:都道府県労働局・ハローワーク)。

デジタル化・AI導入補助金(民間スクール・学習塾等)

認可施設以外の民間学習塾・スポーツスクール・英会話教室・プログラミングスクール等は、デジタル化・AI導入補助金(2026年度からIT導入補助金より名称変更)を活用することができます。通常枠は補助上限最大450万円(4プロセス以上)・補助率1/2以内(賃上げ等の要件充足で2/3以内)で、インボイス枠(ソフトウェア〜350万円・50万円以下の部分3/4以内〔小規模事業者4/5以内〕)等もあります。対象ツールはIT導入支援事業者が登録したツールから選定します。なお、公募要領の「中小企業等の定義」には学校法人(常時使用する従業員300人以下)や特定非営利活動法人も明記されており、学校法人立の施設も要件を満たせば申請できます。

教育・保育スクールで活用が考えられるITツール例

小規模事業者持続化補助金(私塾・教室向け)

常時使用する従業員が5人以下(商業・サービス業〔宿泊業・娯楽業除く〕)の学習塾・教室・スクール等は、小規模事業者持続化補助金を活用することができます。現行(第18回)の補助上限は50万円(インボイス特例で+50万円)・補助率2/3です。新規生徒の集客のためのHP制作・チラシ作成・SNS広告から、授業品質向上のための設備導入(プロジェクター・ホワイトボード・防音設備等)まで、幅広い経費が対象となります。

教育・学習塾向けの補助対象経費例

申請前に確認すべきポイント

教育・保育事業者が補助金を申請する際、施設の認可有無・法人形態によって使える補助金が大きく異なります。また、認可施設向けの補助金は市区町村経由で申請するものが多く、自治体ごとの予算・スケジュールがあるため、早めの情報収集が重要です。

認可施設と非認可施設で使える補助金の違い

認可保育所・幼稚園・認定こども園:就学前教育・保育施設整備交付金・保育所等におけるICT化推進等事業・処遇改善等加算など保育専用制度が豊富。市区町村経由での申請が主体。デジタル化・AI導入補助金・キャリアアップ助成金なども並行活用可能。

認可外保育施設・企業主導型保育:企業主導型保育事業(仕事・子育て両立支援事業費補助金・こども家庭庁)が主な支援。保育所等におけるICT化推進等事業には認可外保育施設向けの機器導入メニュー(1施設20万円)もある。認可施設向けの補助には申請要件を満たさない場合がある。

民間学習塾・スクール(中小企業扱い):デジタル化・AI導入補助金・持続化補助金・キャリアアップ助成金など一般中小企業向け制度が中心。保育専用制度は対象外。

まず自施設がどのカテゴリに属するかを市区町村または商工会議所に確認してから補助金選定を行うことをお勧めします。

申請でよくある失敗パターン

補助金活用の流れ(ステップ)

  1. 施設の認可区分・法人形態の確認 認可保育所・認定こども園・幼稚園か、認可外施設か、民間スクール(株式会社・個人事業主等)かを確認します。それによって使える補助金の種類が大きく変わります。
  2. 市区町村への情報収集(認可施設の場合) 就学前教育・保育施設整備交付金・保育所等におけるICT化推進等事業は市区町村の保育担当課が窓口です。毎年の補助スケジュール・予算状況を確認し、申請時期に合わせて計画を立てます。
  3. 一般補助金の調査(民間スクール等の場合) デジタル化・AI導入補助金・持続化補助金・キャリアアップ助成金など、一般中小企業向け補助金の公募状況を補助金ナビで確認します。GビズIDプライムの取得も早めに着手します。
  4. 処遇改善等加算の計画・実績報告の提出(認可施設) 処遇改善等加算(区分2・3)を受けるためには、市区町村へ賃金改善計画書・実績報告書を提出する必要があります。令和7年度から様式が一本化されました。記載内容が加算の受給に関わるため、社会保険労務士等の専門家に相談しながら作成することをお勧めします。
  5. 補助金の申請・採択・交付決定 各補助金の申請書類を準備し、オンラインまたは郵送で申請します。採択・交付決定の通知が届いてから、設備の発注・契約・支払いを行います。
  6. 実績報告・補助金の受領 事業完了後に実績報告書と証拠書類を提出し、審査通過後に補助金が振り込まれます。

よくある質問(FAQ)

認可外保育施設(企業主導型保育等)でも補助金を受けられますか?
はい、受けられます。企業主導型保育事業には、こども家庭庁の補助制度(仕事・子育て両立支援事業費補助金)があります。また、保育所等におけるICT化推進等事業には認可外保育施設の業務負担軽減機器の導入メニュー(1施設20万円)があります。認可外施設でも雇用保険適用事業所であればキャリアアップ助成金・人材確保等支援助成金等の雇用関係助成金を活用できます。ただし、就学前教育・保育施設整備交付金は認可施設等の整備が対象であるため、認可外施設には適用されません。
保育ICT補助金はどこに申請すればよいですか?
保育所等におけるICT化推進等事業の補助金は、実施主体が都道府県・市区町村で、市区町村を経由して申請するのが一般的です。まず施設がある市区町村の保育担当課(子育て支援課等)に「保育所等におけるICT化推進等事業の補助金について」と問い合わせてください。自治体によって補助の実施有無・申請時期が異なります。国の基準額はシステム導入で1施設あたり20万〜130万円(機能数・端末購入の有無による)です。
処遇改善等加算と他の補助金を重複して受けることはできますか?
処遇改善等加算は公定価格の「加算」であり、補助金とは別の制度です。そのため、設備投資・IT導入などの一般の補助金(デジタル化・AI導入補助金・持続化補助金等)と併せて活用することは可能です。ただし、同一の経費・同一の賃金引き上げを対象に複数の制度から重複して支援を受けることはできないのが原則です。重複の可否は各制度の事務局または所管の市区町村に確認することをお勧めします。
従業員が5名を超える学習塾でも持続化補助金を申請できますか?
小規模事業者持続化補助金の「小規模事業者」の定義は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の場合、常時使用する従業員数が5人以下です。6人以上の場合は対象外となります。ただし、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)や中小企業新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継)などは従業員数の要件が異なるため、規模が大きい場合はそちらを検討してください。
新設の保育所で補助金を受けることはできますか?
はい、可能です。認可保育所の新設は就学前教育・保育施設整備交付金(旧・保育所等整備交付金)の主要な対象のひとつです。市区町村が策定する整備計画等に基づいて交付されるため、市区町村との事前協議が不可欠です。補助割合は原則 国1/2・市区町村1/4・設置主体1/4で、待機児童対策等の要件に該当する場合は国2/3に嵩上げされます。私立保育所の設置主体は社会福祉法人・学校法人等が基本ですが、「実施計画」の採択を受けている場合は市町村が認めた者も設置主体になれます。事業計画段階から市区町村に相談することをお勧めします。
保育士の採用・定着に使える補助金はありますか?
はい、複数の制度があります。①キャリアアップ助成金(非正規→正規転換・賃金引き上げ)、②人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備による離職率低下)、③処遇改善等加算(認可施設向けの賃金引き上げ財源)が主な制度です。また、国の予算事業として、保育所等の事業者が保育士用の宿舎を借り上げる費用の一部を補助する「保育士宿舎借り上げ支援事業」や、保育士・保育所支援センターによる就職支援などの保育人材確保メニューが設けられています。実施状況は自治体により異なるため、施設がある市区町村・都道府県の保育担当課に確認することをお勧めします。
英会話スクールはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を使えますか?
はい、英会話スクールも中小企業・小規模事業者であればデジタル化・AI導入補助金の対象です。生徒・会員管理システム、月謝自動決済システム、クラウド会計ソフト(インボイス対応)などが補助対象となる可能性があります。ただし、本補助金は「IT導入支援事業者」が登録したITツールに限定されるため、導入したいツールが登録されているかを事前に確認する必要があります。公式サイトでITツール・IT導入支援事業者を検索できます。
スポーツスクール(水泳・サッカー等)でも補助金を活用できますか?
はい、活用できます。民間のスポーツスクールは業種的に「サービス業」に分類されることが多く、常時使用する従業員が5人以下であれば小規模事業者持続化補助金(施設設備・集客・チラシ等)、デジタル化・AI導入補助金(予約管理・会員管理システム)、キャリアアップ助成金(非常勤コーチの正規化)などを活用できます。施設整備のための資金調達を検討している場合は、日本政策金融公庫等の公的融資について公式サイトや商工会議所・よろず支援拠点で確認するとよいでしょう。

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※本記事の情報は2026年7月時点のものです。補助金の内容・要件は変更される場合があります。申請前に必ず公式ポータルおよび市区町村窓口の最新情報をご確認ください。