小売・飲食業が使える補助金まとめ【2026年最新版】
店舗改装・集客・DX支援

この記事のポイント
小売・飲食業は「小規模事業者持続化補助金」「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」「業務改善助成金」など、店舗改装からデジタル化まで活用できる補助金が充実しています。特に小規模事業者(商業・サービス業は従業員5人以下)が使いやすい持続化補助金は、一般型・通常枠で上限50万円(特例併用で最大250万円)、創業型なら上限200万円です。本記事では業種別のポイントを解説します。

小売・飲食業向け補助金の全体像

小売業・飲食業は日本で最も事業者数が多い業種のひとつであり、新型コロナ禍の打撃を受けた後も、物価上昇・人手不足・キャッシュレス化への対応など、経営課題が山積しています。こうした課題に対応するため、国・自治体は多様な補助金・助成金制度を設けています。

小売・飲食業が特に活用しやすい補助金は、①小規模事業者持続化補助金(中小企業庁)、②デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)、③中小企業新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継)、④雇用・人材関連の助成金(厚労省)の4系統です。業態・規模・課題に合わせて最適な制度を選ぶことが重要です。

制度名補助上限額補助率主な用途
小規模事業者持続化補助金一般型・通常枠50万円(特例併用で最大250万円)/創業型200万円2/3販促・店舗改装・設備導入
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)通常枠 最大450万円1/2以内(小規模2/3以内)POSレジ・会計・EC構築
中小企業新事業進出補助金従業員数・枠により異なる(公式要領参照)1/2等(公募要領による)業態転換・新規事業展開(事業再構築補助金の後継)
中小企業省力化投資補助金カタログ注文型200万〜1,000万円(賃上げで最大1,500万円)/一般型750万〜8,000万円1/2等(型・要件による)配膳ロボット・自動精算機等
キャリアアップ助成金正社員化 中小80万円/人(重点支援対象者)定額非正規→正規転換・賃金改善
業務改善助成金30万〜600万円(コース・引き上げる労働者数による)4/5(事業場内最低賃金1,050円未満)・3/4(同以上)設備導入による最低賃金引き上げ

※補助額・補助率は公募回・申請枠・従業員規模によって異なります。必ず最新の公募要領をご確認ください。各制度の詳しい枠構成・申請手順は、表内リンクの制度別ガイド記事で解説しています。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小売業・飲食業・宿泊業など「小規模事業者」(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業等は20人以下)が、販路開拓・生産性向上に取り組む費用を支援する制度です。店舗のリニューアル、チラシ・ホームページ作成、新メニュー開発、機器導入など幅広い用途に使えます。

補助内容と申請枠(現行)

現行の構成は「一般型・通常枠」と「創業型」の2つです。かつて設けられていた賃金引上げ・卒業・後継者支援などの特別な枠区分は現在はありません(賃上げ等の特例は一般型の上乗せとして整理されています)。

申請枠補助上限額補助率要件
一般型・通常枠50万円(インボイス特例・賃金引上げ特例の併用で最大250万円)2/3販路開拓・生産性向上の取組み。商工会・商工会議所発行の事業支援計画書(様式4)が必要
創業型200万円2/3認定市区町村等の「特定創業支援等事業」の支援を受けた日と開業日が、いずれも公募締切から過去3年以内

枠の詳細・申請手順は小規模事業者持続化補助金2026年度ガイドで解説しています。

小売・飲食業での活用例

小売・飲食業の実在の活用事例(公式事例集より)

以下は、中小企業庁のミラサポplus「事例から学ぶ『持続化補助金』」と全国中小企業団体中央会「令和6年度ものづくり補助金成果事例集」に掲載された実在の事業者の取組です。社名等・成果は各公式事例集に基づく公開情報です(架空の事例ではありません)。

ケーキ店(北海道)/持続化補助金でフードプリンター導入

バースデーケーキやクリスマスケーキなどに、お客様の好きな写真や絵を可食シートで印刷できるフードプリンターを持続化補助金で導入。他店との差別化を図るとともに、子どもたちからのクリスマスケーキの注文が増えるなど、新規顧客の獲得による業績向上につなげました(機械装置等費・設備導入の活用例)。
株式会社山から(山形県上山市/洋菓子製造)/ものづくり補助金で製造自動化

手作業中心の製造が増産要請に追いつかない課題を抱えていた洋菓子店が、ものづくり補助金で大型ミキサー・包餡機・自動整列機を導入。看板商品のシュークリームの製造時間を従来比で約3割削減し、包餡工程は人員を2人から1人に、整列工程は5人から3人に省人化。1日あたりの製造個数を4,000個から6,000個以上へ引き上げました。食品の製造販売を手がける事業者の設備投資例として参考になります。

デジタル化・AI導入補助金(小売・飲食での活用)

デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金・2026年度から名称変更)は小売・飲食業でも非常に活用しやすい制度です。通常枠は補助率1/2以内(小規模事業者2/3以内)・補助額5万〜450万円。インボイス対応を目的とした会計・受発注・決済ソフトの導入には、補助率の高いインボイス枠が使えます。

小売・飲食業でよく使われるITツール

インボイス枠(インボイス対応類型)の特徴

インボイス制度対応の会計・受発注・決済ソフトを導入する場合は、インボイス枠(インボイス対応類型)が使えます。補助額のうち50万円以下の部分は補助率3/4以内(小規模事業者は4/5以内)と高く、ソフトウェアで最大350万円まで。あわせてPC・タブレット(〜10万円)やレジ・券売機(〜20万円)のハードウェア購入も対象になります。IT導入支援事業者に登録されたツールの中から選ぶ形式です。枠の選び方はデジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)完全ガイドで解説しています。

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中小企業新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継)

コロナ禍の業態転換支援で知られた事業再構築補助金は、新規の公募を終了しています。現在、既存事業とは異なる新市場・新分野への進出を伴う設備投資の受け皿となっているのは、後継制度の中小企業新事業進出補助金(中小企業基盤整備機構)です。

飲食業・小売業では、デリバリー・テイクアウト専門業態への転換、食品製造販売への展開、新規事業の立ち上げに伴う設備投資などでの活用が考えられます。補助上限額・補助率は従業員数・枠により異なり、公募回制で募集されています。最新の公募スケジュール・要件は公式サイトで確認してください。

中小企業省力化投資補助金(飲食・小売での活用)

深刻な人手不足に悩む飲食・小売業でも、中小企業省力化投資補助金は有効な選択肢です。登録済みの「カタログ」から製品を選ぶカタログ注文型(補助率1/2以下・従業員数別200万〜1,000万円・賃上げ達成で最大1,500万円・随時公募)と、現場に合わせた設備を導入できる一般型(750万〜8,000万円・公募回制)の2つの型があります。

飲食・小売業で対象となる製品例(カタログ注文型)

このほかのカテゴリ・対象製品は公式サイトのカタログで公開されています。制度の使い分けは設備投資・生産性向上の補助金2026で詳しく解説しています。

採用・雇用関連の助成金

小売・飲食業は労働集約型産業であり、スタッフの採用・定着・育成が経営の要です。以下の雇用関連助成金は、人件費負担を軽減しながら職場環境を改善するために活用できます。

業務改善助成金

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、その引き上げを実現するための設備投資(機器導入・システム構築等)を行った中小企業・小規模事業者に費用の一部を助成する制度です。

コース(賃金引上げ額)助成上限額助成率
50円コース(50円以上)30万〜130万円(引き上げる労働者数による)事業場内最低賃金1,050円未満:4/5
1,050円以上:3/4
70円コース(70円以上)40万〜300万円(同上)
90円コース(90円以上)90万〜600万円(同上)

※10人以上の労働者を引き上げる場合の上限額区分は、事業場内最低賃金1,050円未満などの「特例事業者」のみが対象です。交付申請から交付決定までは約3か月程度かかり、設備投資等は交付決定後に行う必要があります。POSレジ導入・厨房機器の自動化などを業務改善助成金で補助し、生産性向上とあわせて賃金を引き上げるという活用パターンが飲食・小売業では多く見られます。

キャリアアップ助成金

パート・アルバイトスタッフを正社員に転換した場合に助成が受けられます。令和8年度の正社員化コースは、中小企業で重点支援対象者(有期→正規)1人あたり80万円(40万円×2期)、重点支援対象者以外は40万円です。飲食・小売業はパート比率が高い業種であり、離職率低下と定着率向上のための正社員化促進に活用する事業者が増えています。コース別の詳細は採用・雇用・人材育成の補助金・助成金2026で解説しています。

補助金活用の具体的な流れ

  1. 経営課題を明確にする 「新規顧客を増やしたい」「人手不足を解消したい」「デジタル化でコストを削減したい」など、課題を具体的に整理します。課題によって最適な補助金が変わります。
  2. 対象となる補助金を選ぶ 課題に合った補助金を選びます。複数の補助金を組み合わせることも可能ですが、同一経費への重複申請は原則禁止です。迷ったら商工会議所・よろず支援拠点への無料相談をお勧めします。
  3. GビズIDプライムを取得する 国の補助金申請には「GビズIDプライム」が必要です。オンライン申請(マイナンバーカード利用)なら速やかに発行されますが、書類申請は審査に最大1か月かかるため、早めに手続きを行いましょう。
  4. 経営計画書・補助事業計画書を作成する 小規模事業者持続化補助金では「経営計画書」と「補助事業計画書」の2点が審査の核心です。「なぜこの取組みが必要か」「どれだけ売上・集客に貢献するか」を具体的に記載してください。
  5. 公募期間中に申請する 各補助金は公募期間が決まっています。持続化補助金は年に複数回公募があります。締切を逃さないよう、補助金ナビで最新情報を確認しましょう。
  6. 採択・交付決定後に実施する 交付決定通知が届く前に設備を発注・購入してはいけません。通知後に発注・支払い・事業実施を行います。
  7. 実績報告・補助金の受領 事業完了後に実績報告書と証拠書類(領収書・写真等)を提出します。承認後に補助金が振り込まれます。

よくある質問(FAQ)

飲食店の内装工事・厨房設備の購入に補助金は使えますか?
はい、用途によっては利用できます。小規模事業者持続化補助金は、販路開拓に繋がる内装リニューアルや設備導入に使えます。ただし土地・建物本体の取得費は対象外です。業態転換など新分野への進出に伴う大規模な設備投資は、中小企業新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継制度)の対象になる場合があります。
個人経営の飲食店でも補助金を申請できますか?
はい、個人事業主も申請できます。小規模事業者持続化補助金は個人事業主が特に活用しやすい制度です。GビズIDプライムの取得と、商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」が必要なため、早めに地元の商工会・商工会議所に相談することをお勧めします。
チラシ・SNS広告の費用も補助対象になりますか?
小規模事業者持続化補助金では、販路開拓を目的としたチラシ制作費や広告費が補助対象になり得ます。なお、ホームページ・ECサイトなどのウェブサイト関連費は交付申請額の1/4が上限で、この費目のみでの申請はできません。デジタル化・AI導入補助金は登録ITツールの導入費が対象で、広告費は対象外です。対象経費の詳細は各回の公募要領をご確認ください。
開業したばかりの飲食店でも申請できますか?
持続化補助金には開業間もない事業者向けの「創業型」(上限200万円)があります。適用には、国が認定した市区町村等が実施する「特定創業支援等事業」の支援を受けた日と開業日が、いずれも公募締切から過去3年以内であることが必要です。デジタル化・AI導入補助金・業務改善助成金も開業後すぐに申請可能な場合があります。各制度の最新公募要領を確認してください。
事業再構築補助金はまだ申請できますか?
事業再構築補助金は新規の公募を終了しています。業態転換・新分野展開を伴う設備投資の受け皿としては、後継の中小企業新事業進出補助金(中小企業基盤整備機構)が設けられています。最新の公募スケジュール・要件は公式サイトをご確認ください。
業務改善助成金を受けるために設備を購入する必要がありますか?
はい、業務改善助成金は「設備投資などによる生産性向上を前提とした賃金引上げ」を支援する制度です。POSレジ・厨房機器などの設備導入とセットで申請する必要があります。設備なしでの賃金引上げには対応していません。なお設備投資等は交付決定後に行う必要がある点に注意してください。
複数の補助金を同時に申請することはできますか?
異なる経費・事業内容であれば複数の補助金を同時に活用することは可能です。例えば「持続化補助金でホームページを作成しながら、業務改善助成金でPOSレジを導入する」といった組み合わせは問題ありません。ただし同一の経費に対して複数の補助金を申請することは禁止されています。

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※本記事の情報は2026年7月時点のものです。補助金の内容・要件は変更される場合があります。申請前に必ず公式ポータルの最新情報をご確認ください。