農業・食品加工業が使える補助金まとめ【2026年最新版】
設備導入・6次産業化・輸出支援

この記事のポイント
農業・食品加工業は、農林水産省・経済産業省・厚生労働省の各省が所管する多様な補助金・助成金を活用できます。2026年度は「スマート農業」「6次産業化」「農産品の輸出拡大」を後押しする制度が充実。本記事では最大2億円超の補助制度を含む主要制度を金額・補助率付きで整理し、申請のコツを解説します。

農業・食品加工業向け補助金の全体像

農業・食品加工業が活用できる補助金は、主に農林水産省・経済産業省・厚生労働省の3省が所管しています。農業分野では設備の大型化・スマート化・省力化を支援する制度が整備され、食品加工業ではものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金など中小企業向けの一般制度も広く使えます。

農業経営者は「農業者」としての補助制度と「中小企業者」としての補助制度の両方にアクセスできる場合があります。法人化している農業経営体・農業生産法人・農業協同組合などは中小企業向け制度の対象になるケースが多く、一般の中小企業向け補助金を積極的に活用することがポイントです。

制度名補助上限額補助率主な用途
スマート農業技術の開発・実証・普及事業最大5,000万円/件最大2/3ドローン・農業ロボット・センシング技術
農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)最大3億円融資(低利)農業用機械・施設・農地取得
ものづくり補助金(食品加工・農業法人)最大1,250万円1/2〜2/3加工設備・包装機械・冷凍冷蔵設備
持続化補助金(小規模農業経営者)最大200万円2/3販路拡大・ネット通販・直売所整備
6次産業化ネットワーク活動交付金最大3,000万円最大1/2加工施設・体験施設・直売所整備
農産品等輸出促進対策事業(JFOODO)事業規模による最大1/2〜2/3海外展示会・輸出用パッケージ開発
キャリアアップ助成金最大72万円/人定額農業法人での非正規→正規転換

※補助額・補助率は公募回・申請区分によって異なります。必ず最新の公募要領をご確認ください。

スマート農業推進補助金

スマート農業推進補助金は、ドローン・農業ロボット・IoTセンサー・AIを活用した精密農業技術の導入・普及を支援する農林水産省の補助事業です。慢性的な農業従事者の高齢化・後継者不足を背景に、作業の自動化・省力化を推進することが目的です。

主な支援メニューと補助内容

支援メニュー補助上限額補助率対象技術例
スマート農業技術実証・普及5,000万円/件最大2/3自動走行トラクター・田植機・収穫ロボット
農業用ドローン導入支援機体価格の一部最大1/2農薬散布ドローン・センシングドローン
圃場センシング・データ活用システム費の一部最大1/2土壌センサー・気象センサー・生育管理AI
農業経営改善計画に基づく設備投資機械・施設費の一部最大1/2施設園芸・養液栽培・環境制御システム

スマート農業で導入が進む主な機器・システム

導入事例:野菜農家D氏(水稲+大豆 50ha、従業員3名)

課題:広大な圃場に農薬散布のために人員3名が終日作業。農薬コストと労務コストが圧迫していた。

対応:農薬散布ドローン2機を導入(設備費用 約280万円)。補助金活用で140万円を補助。散布作業を50ha分でわずか2日に短縮(従来5〜6日)。農薬使用量も約15%削減し、コスト・環境両面で効果が出た。

農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)

農業経営基盤強化資金(通称:スーパーL資金)は、農林漁業金融公庫(日本政策金融公庫の農林水産事業)が融資する低利の農業専用ローンです。補助金とは異なり「融資(返済義務あり)」ですが、金利が非常に低く、農地取得・農業機械・施設整備など大型投資に適しています。

スーパーL資金の概要

項目内容
融資対象者認定農業者(農業経営改善計画の認定を受けた農業者・農業法人)
融資限度額個人:3億円 / 法人:10億円
金利変動金利(年0.2〜0.5%程度・時期により変動)
返済期間最長25年(うち据置期間最長10年)
主な用途農地取得・農業用機械・施設(ハウス・農業倉庫等)・農地改良工事

認定農業者の資格取得には、各市区町村への「農業経営改善計画」の申請と認定が必要です。5年後の農業経営目標を記載した計画を提出することで認定されます。計画作成は農業委員会・農業共済組合・JA等が相談に対応しています。

食品加工業向け補助金(ものづくり補助金等)

食品加工業は農林水産省の補助金だけでなく、経済産業省・中小企業庁が所管するものづくり補助金・IT導入補助金・持続化補助金も活用できます。特にものづくり補助金は、食品製造の設備投資・新商品開発・生産ライン自動化で採択実績が多い制度です。

ものづくり補助金(食品加工業での活用)

食品加工業では、生産効率向上・新商品開発・品質管理強化を目的とした設備投資でものづくり補助金が広く活用されています。特に以下のような取り組みで採択事例が多く見られます。

小規模事業者持続化補助金(農業・食品加工業)

常時使用する従業員数が20人以下(サービス業は5人以下)の小規模事業者が対象の補助金です。農家の直売所整備・地産地消レストランの開業・農産品のネット通販開始など、販路開拓・生産性向上の取り組みに活用できます。

補助上限額補助率食品・農業での活用例
通常枠50万円2/3直売所リニューアル・販促チラシ・ECサイト構築
賃金引上げ枠200万円2/3(赤字は3/4)農業法人の人件費引き上げに対応した設備投資
後継者支援枠200万円2/3農業後継者が新たな販路・商品を開拓
創業枠200万円2/3農業参入・食品製造新規開業の設備整備

あなたの農業・食品加工事業に合う補助金を診断する

30秒の質問に答えるだけで、最適な補助金が見つかります

無料で診断を始める →

6次産業化支援補助金

6次産業化とは、農林漁業者が生産(1次産業)だけでなく、加工(2次産業)・流通・販売(3次産業)まで一体的に手がけることで付加価値を高める取り組みです。農林水産省は6次産業化の推進を政策の柱に掲げており、支援制度も充実しています。

6次産業化ネットワーク活動交付金(農山漁村振興交付金)

農山漁村振興交付金のうち「6次産業化ネットワーク活動推進対策」は、農林漁業者が異業種(加工業者・小売業者・飲食店等)と連携して6次産業化に取り組む際の施設整備・機械導入・ソフト事業を支援します。

支援メニュー補助上限額補助率
施設整備(加工場・直売所・観光施設)3,000万円(上限は事業により変動)1/2以内
機械・設備導入施設整備と合算で補助1/2以内
ソフト事業(商品開発・販路開拓・人材育成)300万円程度定額または1/2

6次産業化の具体的な取り組み事例

活用事例:果樹農家E氏(りんご 3ha・長野県)

課題:豊作年に市場価格が崩落し、規格外品(約30%)が廃棄になっていた。

対応:小型ジュース製造機・瓶詰め設備・冷蔵ショーケースを導入(設備費 約450万円)。6次産業化支援補助金で225万円を補助。りんごジュース・ジャムの製造・直売を開始し、規格外品の廃棄をゼロに。ふるさと納税での出品も始め、農業収入が約1.4倍に増加した。

輸出促進・海外展開支援補助金

政府は2030年に農林水産物・食品の輸出額5兆円を目標に掲げており、農業者・食品加工業者の海外展開を後押しする補助制度が拡充されています。国産農産品・加工食品の品質は世界的に高い評価を得ており、特に東アジア・東南アジア・北米市場での需要が伸びています。

農産品等の輸出促進支援(JFOODO・農林水産物・食品輸出プロジェクト)

農林水産省および日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)が実施する輸出促進事業では、食品・農産品の輸出に取り組む事業者を対象に以下の支援が受けられます。

中小企業海外展開支援補助金(経済産業省・JETRO)

食品加工会社として海外展開に取り組む場合、JETROが実施するジャパン・ハウス活用事業・海外展開のための設備投資補助金なども活用できます。補助対象は輸出向け製品の製造設備・包装機械・検査機器などで、最大補助率1/2、上限は事業により異なります。

支援制度補助内容補助率・上限
輸出産地づくり推進事業(農水省)産地の輸出体制整備・選別施設・予冷庫最大1/2・数百万〜数千万円
有機農業推進事業(農水省)有機JAS認証取得・有機資材費用補助最大1/2
海外展示会等参加補助(JETRO)海外食品展示会への出展費用最大2/3・上限50万円程度

農業・食品加工業の雇用関連助成金

農業法人・食品加工会社は、厚生労働省所管の雇用関連助成金も積極的に活用できます。農業分野は季節雇用・非正規雇用が多い業種ですが、要件を満たせば確実に受給できる助成金を活用して、人材確保・定着に役立てましょう。

農業法人における雇用関連助成金の活用

制度名農業での活用場面助成額の目安
キャリアアップ助成金(正社員化コース)季節雇用の農業労働者を正社員に転換1人あたり最大72万円
人材開発支援助成金農業機械操作・食品安全・有機農業の研修経費の最大75%
特定求職者雇用開発助成金高齢農業者・障害者・Uターン就農者の採用1人あたり最大120万円
雇用調整助成金天候不順・農産物価格暴落時の雇用維持賃金の最大9割補助

農業雇用特有の注意事項

農業法人が雇用関連助成金を申請する際の重要な注意点として、雇用保険への加入要件があります。農業では5人未満の農業法人(個人経営)は雇用保険の任意適用事業場ですが、5人以上または法人形態であれば強制適用となります。助成金申請の多くは雇用保険への加入が前提条件ですので、まず雇用保険の加入状況を確認しましょう。

申請前に確認すべきポイント

農業・食品加工業が補助金を申請する際に特に注意すべきポイントをまとめました。農業分野には農林水産省特有のルールがあるため、申請前の確認が特に重要です。

農業・食品加工業の補助金申請で注意すべきポイント

農業者か中小企業者かを確認する:法人化している農業経営体は農林水産省の農業向け補助金と経済産業省の中小企業向け補助金の両方に申請できる場合があります。個人農家は中小企業向け補助金の対象外になることがあるため、事前に確認しましょう。

認定農業者・認定新規就農者の認定取得:スーパーL資金・農業経営強化対策関連の補助金は認定農業者であることが要件となる場合があります。計画申請から認定まで時間がかかるため、早めに手続きを始めましょう。

HACCP・有機JAS認証の活用:食品加工業者がHACCP対応設備を導入する場合、ものづくり補助金の事業計画書に食品安全基準への対応を訴求すると採択率が上がります。また有機JAS認証取得に向けた設備整備も輸出促進補助金の対象になりえます。

農地法・農振法の確認:農地に加工施設・直売所などを建設する場合は農地転用許可が必要です。補助金の申請前に農業委員会に確認し、転用許可の見通しを立てておくことが重要です。

よくある申請失敗パターン(農業・食品加工業編)

補助金活用の流れ(ステップ)

  1. 経営課題の整理と補助金の選定 「省力化」にはスマート農業推進補助金・省力化投資補助金、「加工施設整備」には6次産業化支援・ものづくり補助金、「販路拡大・ネット通販」には持続化補助金、「輸出展開」には輸出促進支援補助金、という形で課題に合わせて最適な制度を選びます。
  2. 認定農業者・法人化の確認 農林水産省の補助金はほとんどが「認定農業者」であることを前提とします。まだ認定を受けていない場合は、市区町村農業委員会に相談して経営改善計画の作成・認定手続きを進めましょう。
  3. GビズIDプライムの取得(中小企業向け補助金申請時) ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金を申請する場合はGビズIDプライムが必要です。農業法人・食品加工会社は法人の登記事項証明書を準備して取得手続きを進めてください。
  4. 見積もり・事業計画書の作成 導入を検討している農業機械・加工設備・ITシステムの見積もりを取り、補助対象経費を確認します。農業向け補助金では「農業経営改善計画との整合性」、中小企業向け補助金では「革新性・生産性向上効果」を事業計画書に明記することが採択のポイントです。
  5. 支援機関への相談・申請書類の準備 JA・農業共済組合・農業振興事務所・中小企業診断士・商工会議所など、農業・食品分野に知見を持つ支援機関に相談することをお勧めします。農業法人向けの補助金は農政事務所・都道府県農業担当課が相談窓口です。
  6. 公募期間中にオンライン申請 農林水産省の補助金はe-Radポータル(府省共通研究開発管理システム)経由での申請が多く、事前にアカウント登録が必要です。中小企業庁系の補助金は各補助金の専用ポータルから申請します。
  7. 採択・交付決定後に事業実施 交付決定通知が届くまで、設備の発注・支払いは行わないでください。農業機械・加工施設の納期は長いことが多いため、交付決定後すぐに発注できるよう事前に業者と調整しておくことが重要です。

よくある質問(FAQ)

個人農家でもものづくり補助金に申請できますか?
農業を営む個人(個人事業主として青色申告している場合)も、ものづくり補助金の申請対象になります。ただし、中小企業・小規模事業者の要件(資本金・従業員数)に加え、「主たる事業が農業であること」が確認できる書類(青色申告決算書等)が必要です。また、直近2期の確定申告書が必要なケースが多いため、農業を始めて間もない方は注意が必要です。
農業用ドローンの購入に補助金は使えますか?
はい、複数の補助制度が活用できます。農林水産省のスマート農業推進関連補助金では農薬散布ドローン・センシングドローンが補助対象になります。また、省力化投資補助金のカタログ製品として登録されているドローンについては省力化投資補助金も使えます。さらに、ドローン操縦技術を習得するための研修費用は人材開発支援助成金の対象にもなり得ます。
農産品の加工場(プレハブ)の建設費用は補助対象になりますか?
6次産業化支援補助金(農山漁村振興交付金)では、加工場・直売所・体験施設などの施設整備費用が補助対象になります。ただし、農地転用許可が必要な場合は事前に農業委員会に確認してください。ものづくり補助金では建物本体の建設費用は対象外ですが、加工設備・機械・内装工事の一部は対象になる場合があります。
認定農業者の申請はどこでできますか?
認定農業者の申請は、農地が所在する市区町村の農林水産担当窓口(農業委員会事務局・農政課等)に行います。「農業経営改善計画」を作成・提出し、市区町村(または都道府県)の認定を受けます。計画の作成支援はJA・農業振興事務所・農業会議が対応しています。認定には通常1〜3ヶ月程度かかるため、補助金申請の予定がある場合は早めに手続きを始めましょう。
6次産業化補助金の申請には農林漁業者であることが必要ですか?
農山漁村振興交付金(6次産業化支援)の多くは「農林漁業者が主体的に参加する取り組み」であることが要件です。農業法人・農事組合法人・農業者グループが主体となり、加工業者・流通業者と連携するかたちが典型的なスキームです。農業者以外の食品加工会社が単独で申請することは難しいため、地域の農業者や農業団体と連携した事業スキームを組むことが重要です。
輸出向け補助金を使うために必要な準備は何ですか?
輸出促進補助金を活用するためには、まず①輸出先国の食品安全規制の確認(国によりHACCP・有機認証・農薬残留基準が異なる)、②輸出向けパッケージ・ラベルの外国語対応、③輸出通関手続きに必要な証明書の取得(輸出植物防疫証明書・産地証明等)が必要です。JETROの無料相談窓口や農林水産省の輸出・国際局に問い合わせることをお勧めします。
農業を始めたばかりの新規就農者でも補助金は申請できますか?
新規就農者向けには「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)」という最大150万円/年の資金支援制度があります。また、認定新規就農者(農業経営開始計画の認定を受けた方)であれば、農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)の低利融資も利用できます。ものづくり補助金・持続化補助金は創業間もない事業者でも申請できるケースがあります。まず農業委員会・農業振興事務所に相談することをお勧めします。
農業向けの補助金相談を無料で受けられる窓口はどこですか?
農業向けの補助金相談は、①JA(農協)の営農指導員、②各都道府県の農業振興事務所・農林事務所、③農業会議・農業共済組合、④よろず支援拠点(食品加工・農業法人の経営相談)で無料相談が受けられます。スマート農業についてはスマート農業実証プロジェクトの相談窓口(農研機構等)も活用できます。輸出促進についてはJETROの地域事務所が各地に無料相談窓口を設けています。

あなたの会社に合う補助金を診断する

30秒の質問に答えるだけで、最適な補助金が見つかります

無料で診断を始める →

※本記事の情報は2026年5月時点のものです。補助金の内容・要件は変更される場合があります。申請前に必ず公式ポータルの最新情報をご確認ください。